定義

軍事貴族は、平安時代後期の軍事を専門とした中・下級貴族を指す用語で、武士の最初期の形態の一つである。平安時代末期には地方領主と一体化した。

軍事貴族 押領使・追捕使・鎮守府将軍などとして、平安中期以降の国家の軍事部門を担った貴族。清和源氏や桓武平氏などをいう。

── 全国歴史教育研究協議会編『日本史B用語集改訂版』(山川出版社,2009)

武士[……]9世紀末から10世紀に頻発した紛争を鎮圧するための押領使・追捕使などに任じられた中・下級貴族(軍事貴族)が土着し、武芸を家業とする兵の家を形成することで武士が登場した。平安後期以降に武装化した地方領主(在地領主)と合体し、所領経営者の性格をも備えるようになった。

── 『山川日本史小辞典新版』(山川出版社,2001)

発生当初の武士は、特殊軍事貴族・俘囚・狩猟民など殺生を業とする諸身分の複合体として登場し、平安末期以降に地方領主と合体して所領経営者の性格をも備えるようになるとみる考え方が有力である。

── 義江彰夫「武士」(『日本大百科全書』,小学館,1984-1994)

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